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【第1部】 第28話 龍の気遣い①

last update Última actualización: 2025-07-18 06:01:10
 下校の時間。

 私はさっさと帰ろうと、急いで教室を出た。

 すると、私のあとを必死で追ってくるヘンリーの気配を感じ、そっと振り返る。

 視界に入ってきたのは彼と、彼にべったりと寄り添うシャーロットの姿。

 見たくないという思いとは裏腹に、澄んだ瞳でじっと見つめるその眼差しに、私は負けた。

 結局、皆で帰るはめになってしまった。

 ヘンリーに腕を絡め、密着するシャーロット。

 その様子を横目で見ながら、私は心の中でため息をつく。

 こんなことがこれからずっと続くのかな……結構、しんどいんですけど。

「お嬢、ご気分でも悪いのですか?」

 私の様子が気になったのか、龍が声をかけてきた。

「ううん、大丈夫。……ね、今日の夕飯は何?」

「え? あ、はい。雑穀米、茄子のお味噌汁、サバの塩焼き、酢の物でございます」

「美味しそう! 龍の作る料理が一番よね、楽しみにしてる」

「光栄です」

 私は明るく振舞った。

 落ち込んでいるなんて思われたくない。もちろんヘンリーへの気持ちも知られたくない。ましてや、嫉妬してるなんて絶対に知られるわけにはいかない。

 ……今さら、ヘンリーのことが好きだなんて。

 それに、ヘンリーにはシャーロットがいるし……ヘンリーはこの世界の人じゃない。

 いつか、必ず別れが訪れる。

 これ以上好きになったら、いつかきっと辛い思いをすることになる。

 この気持ちは封じ込め、忘れてしまったほうがいい……。

 思考を巡らしていた私は、前をよく見ていなかった。

「お嬢っ! 危ない!」

 突然、龍に力強く引き寄せられた。

 よく見ると、進行方向には電信柱が……。どうやら、私はそれに向かって歩いていたらしい。

 龍が止めてくれなかったら、思いきりぶつかっていただろう。

 私としたことが情けない、考えごとばかりしているからだ。

 ほっとしたのもつかの間、私は肩を落とし落ち込んだ。

「大丈夫ですか? 心配させないでください」

 龍が真剣な眼差しを私に向ける。

「うん……ごめん」

 意気消沈する私。

 ふいに龍が私の手を取った。

「え?」

 私は驚き龍を見つめる。

 すると、彼は照れくさそうに下を向いた。その頬はほんのり、赤い。

「行きますよ」

 そう言うと、龍は私を引っ張って歩き出す。引かれるままに、彼の後についていく。

 突然の龍の行動に戸
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Comentarios (1)
goodnovel comment avatar
憮然野郎
流華への龍のさりげない龍の行動、優しいですね......
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